色々と整理したところ、10項目になった。見出しはそれ自身も含む。
造語も甚だ多いが、各用語の解説は文末に記す。思考・対話の助けとなれば幸い。
【論理構造の不備】
1.演繹・帰納の誤謬
…例外の撲滅、間違った類推、合成の誤謬、分割の誤謬(以上が演繹)、早まった一般化(帰納)
2.論理の断絶(「ゆえに」ではない)
…選言肯定、4個概念の誤謬・媒概念不周延の誤謬、未知論証
3.包含関係に関する誤謬
…後件肯定、前件否定、母・標の入れ替え
4.因果関係の錯誤
…相関関係・先後関係との混同、クラスター錯覚
5.誤った根拠
…権威論証、多数論証、無根拠(滑り坂論法、自然主義の誤謬)、イメージの先行(連言錯誤)
6.論点回避(結論を真とした論法)
…論点先取(循環論証、充填された語、自分語法)
【不適切な意図・態度】
7.論点のすり替え
…同情論証、対人論証(状況対人論証、人身攻撃、連座の誤謬)、相殺法、不当な要求、永遠の検証、証明責任の錯誤
8.不適格な話者
…知性の欠落(知能障害をおこす)、居直り、過熱、不適切な主張、議論の放棄
9.無知・無力主義
…思考停止、連続性の虚偽
10.恣意的な言語材料
…間違ったジレンマ、偏りのある標本、曖昧語法・不断言、二枚舌、脅迫論証、多重尋問、比喩の濫用
用語の解説。上記の順。「」内は「詭弁の特徴のガイドライン」の項目。(造)は造語の意味。
例外の撲滅 …… 例外なく演繹する誤り。
間違った類推 …… 比喩を使った三段論法などで、類推の粋を超えるもの。
合成の誤謬 …… 部分から、それらを合成した全体もそうであると推測する誤り。
分割の誤謬 …… 全体から、それらを分割した部分もそうであると推測する誤り。
早まった一般化 …… 不十分な試料から一般論を帰納する誤り。
選言肯定 …… 「AまたはBである。Aである。ゆえにBではない」とする誤り。
4個概念の誤謬 …… 「AはB、CはDである。AはDである。ゆえにCはBである。」という誤り。
媒概念不周延の誤謬 …… 「すべてのAはBである。CはBである。ゆえにCはAである。」媒概念Bが周延的ではないため妥当ではない。
未知論証 …… 真とする証拠がないのを理由に偽とすること。または逆。
(論証「PならばQである」が真であるとき、)
後件肯定 …… 後件を肯定し(Qである)、前件を主張する(ゆえにPである)、「逆もまた真」と考える誤り。
前件否定 …… 前件を否定し(Pではない)、後件の否定を主張する(ゆえにQではない)、前提と結論を否定した「裏」を主張する誤り。
母・標の入れ替え(造) …… 母集合の一部が特徴的な標本である場合に、標本集合と母集合を入れ替えて述べる誤謬。両集合の大きさが近いほど誤差は少ないが、片方が大きい場合に因果関係が捏造される。
因果関係の錯誤・相関関係との混同 …… 相関関係を因果関係と捉える誤り。
因果関係の錯誤・先後関係との混同 …… 先後関係を因果関係と捉える誤り。
クラスター錯覚 …… 集まった本来関係ないものを、因果関係があるように捉えること。
権威論証 …… 権威のある人物を挙げて説得する方法。
多数論証 …… 多数派が正しいのだとする誤り。
滑り坂論法 …… 可能性の低い因果関係を主張し危険性を説く。
自然主義の誤謬 …… 事実の記述から規範を結論付ける誤り。「今後もそうであるべき」根拠がない。
連言錯誤 …… 「推論A」と「AかつB」では、後者の方がもっともらしいと感じる錯誤。
論点回避 …… 前提の真偽を問わず結論を真とすること。
論点先取 …… 前提の中に結論を導く語を入れた、同義反復の推論。
循環論証 …… 前提が結論の根拠で、結論が前提の根拠になる推論。
充填された語 …… 意図・感情の込められた語。
自分語法(造) …… 言葉を随所で、定義ではなく恣意的な意味を元に使用する誤り。
論点のすり替え …… 論じられている主張に対し、論点をすり替えて反論すること。
同情論証 …… かわいそう等の感傷に訴える方法。
状況対人論証 …… 身を置いた状況がその人物に必ず影響しているとする誤り。
連座の誤謬 …… 支持団体の性質を支持される側へ持ち込む誤り。
相殺法 …… 主張に対し別のポイントを挙げて相殺しようとする誤り。
不当な要求(造) …… 主張するなら代替案や相応の実力を出せと要求する誤り。
永遠の検証(造) …… 「12:決着した話を経緯を無視して蒸し返す」
証明責任の錯誤 …… 本来は無い証明責任を相手に突きつける誤り。
知性の欠落(造) …… 「8:知能障害をおこす」
居直り(造) …… 誤りを認めない態度。冷静な話ではなく攻撃が主になる。
過熱(造) …… 冷静ではないと判断され、発言内容が考慮されないような態度。
不適切な主張(造) …… その人物が言うべきではない主張、あるいは必要以上に客観的な主張。
議論の放棄(造) …… 「13:勝利宣言をする」
無知・無力主義(造) …… どちらとも言えないと結論付け、うやむやにする。未知論証と近い。
連続性の虚偽 …… 曖昧な述語で連続した状態を表す際、境目が不明なために常識的な認識とずれを感じること。
間違ったジレンマ …… 提示した選択肢しか存在しないことを前提にすること。
偏りのある標本 …… データから恣意的に標本を用いて論理を展開すること。
曖昧語法 …… 曖昧な語・文章で主張すること。
不断言(造) …… 言い切らずに相手の出方を見て、結果的に正しい方に乗ること。
二枚舌 …… 同音異義語等を使った言い回し。
脅迫論証 …… 脅迫や威嚇の論調で述べること。
多重尋問 …… 肯定しても否定しても不利になる質問。
比喩の濫用(造) …… 比喩を濫用し、本旨を逸れて枝葉末節のやり取りになること。